ノルウェイの森(上)(下)(村上春樹)満足度:☆☆☆

ノルウェイの森 上 (講談社文庫) ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
新作を出す度に社会現象を巻き起こす全世界的な人気作家の20年以上昔のヒット作。
恥ずかしながらこの作家の作品を読むのは本作が初めて。
37歳の僕(ワタナベ)が、海外の空港でビートルズの「ノルウェーの森」を耳にしたことで18年前(1968年)の学生時代のことを回想する、っていう内容。
神戸の高校を卒業して都内の私立大学に入学していた主人公のワタナベと、高校時代の親友の彼女・直子、同じ寮に住む2学年上の超遊び人東大生・永沢、大学の同じ講義を取っていたミドリ、京都の山奥の療養所に入った直子のルームメイト・レイコさんが主な登場人物か・・・。
 この作品が発表された時にはまだ自分は学生だったけど、悶々としていたあの頃に読まなくて良かった。ワタナベが通うのは自分の母校だろうから受ける影響もきっと大きく、しかも負の方向だっただろう。
 性描写も結構ドギツイが、作品全体に倦怠感・厭世観の様な雰囲気が漂う作風。
ノーベル文学賞も確実と言われる超人気作家だからか、子供にも勧めたい人も多いだろう。まだ自分は1作しか読んでいないけど、他の作品も実際に読んでからじゃないと薦められないなあ。問題なのはエロさじゃなくて雰囲気の方。
作品が売れた後、作者の村上氏は憎まれているような孤独を感じたらしいが、本作が海外で書かれたことや今も海外生活が続くことやウルトラまでやるマラソンファンであることは、何となく繋がっているんじゃないかと感じる。消滅願望への最高の良薬は肉体の苦痛なんだろう、と勝手に言ってみる。