チャンネルファンタズモ(加藤実秋)満足度:☆☆☆

チャンネルファンタズモ
インディゴの夜」シリーズの作者の新作。4つの短編が収録されているが、ストーリー的には繋がっている。
主人公の百太郎(ももたろう)は、大手の帝都テレビ報道部で特ダネもモノにしたことがあるディレクター。だが、あるトラブルが基で局を追われ、トラブル由来と思われる圧力で再就職もままならず、たどり着いた就職先は三流オカルト番組を専門に24時間放映している放送局、「チャンネルファンタズモ」。
百太郎は、霊感ゼロの元ヤン女ディレクター、ミサと、霊感が有るっぽい黒猫ヤマト(笑)とコンビを組まされ、次の仕事が見つかるまでの間だけと自分に言い聞かせながらオカルトネタの取材を始める・・・。
短編毎に怪しげなオカルト事件を追い、その事件が結局は常識的な事件に収まる過程で軽い謎解きがあるが、あくまでも「軽い」。
百太郎とミサの会話は基本的にダジャレとパロディだし、オカルトやミステリーというよりは脱力系の本。だが、最後の短編だけは少し趣が異なり、百太郎が帝都テレビを追われた事件に再び引き寄せられていく。で、予想よりは硬派な結末へ。でも最後は巻末の用語集で結構笑える。作者と年齢がほぼ一緒だからかな。