ポニーテール(重松清)満足度:☆☆☆★

ポニーテール
主人公の石川フミは小学4年生の女の子。両親とゴエモン(石川家だから)という尻尾がカギ型に曲がっている猫と一緒に暮らしていたが、病弱だった母親を数年前に亡くし、ゴエモンも天寿を全うして今は居ない。
だが、父親が再婚して、明るいお母さんとマキという名の気難しい6年生の姉が突然家族になった。転校して新学期を向かえたフミは、空き地に捨てられたらしい子猫を見つけ、尻尾がカギ型に曲がっていたので「ゴエモン2世」と名付ける・・・。
姉のマキはまだ小六だというのに独りを好み、いろんなことに気付くが気持ちを素直に表現できない子。周囲も自分も自分自身を持て余している様子。
一方で妹のフミは素直で子供らしい性格、でもちょっといじらしく我慢しがちで、その分後でよく泣く子。一見つっけんどんな姉が大好きで、その象徴が作品のタイトルである「ポニーテール」なのだ。
この姉妹と新しい夫婦が、お互いを気遣ってギクシャクしながら過ごしていく。
だが突然、真ん中辺のページからゴエモン2世目線の文章が登場し、一気にファンタジーっぽくなる。唐突な感は否めないが、個人的にはここから後の作風の方が好みだったし、だからこそ作者もそのまま書き進めたのだろう。
歳をとらないと判らない心情(フミの母方の祖父母の気持ち等)を綴っている部分もあるが、子供に勧めてもいいだろう。難しいかな。