ふたつのしるし(宮下奈都)満足度:☆☆☆★

ふたつのしるし
 性格も年齢も性別も住んでいる地域も違う二人のハルが主人公。
 少し発育が遅いのか、何かに気を取られると周りが全く見えなくなって話しかけられても反応できない小1男子・ハル(温之)。唯一、浅野健太という子だけがハルの心の動きに気付きコミュニケーションも取れる。
 一方、周囲から浮かないよう息を潜める中1優等生女子・遥名。
 本作は、数年ごとに、6歳の年の差がある二人のハルを交互に登場させながら展開していく。
 時は流れ、子供のころから地図に興味を示していたハルは、25歳の若さで電気の配線図にその異能を発揮しつつあった・・・。
 前半部に、二人のハルが同じ場所に居ることを暗示しているシーンがあったり、終盤に健太が登場したりと、約30年に渡る物語になっている。ラストは穏やかで読後感も良かった。