Bitter sweet Waltz(小路幸也)満足度:☆☆☆
『モーニング』『コーヒーブルース』に続く弓島珈琲シリーズ三作目。と言いつつ前2作がシリーズになっていたのも気付いていなかったが。
主人公の弓島大は、かつては広告代理店に勤務して恋人との結婚も間近だったが、薬物事件でその恋人を亡くし、奈落の底に落ちてしまう。その後は北千住の自宅横で細々と喫茶店<弓島珈琲>を続ける40男。
前作『コーヒーブルース』で行方不明の女子中学生・あゆみを探した際には、元有名女子プロレスラー・丹下、近所のビリヤード店主・苅田、常連客の刑事(当時)・三栖、学生時代の友人で教師の小菅、近所の高校生・純也と香世、同級生の肉屋・マコト等が活躍した。
本作は、恋人を亡くした時の恩人でもある三栖警部が失踪し、「ダイヘ」とだけ書かれた三栖からのメールを受けた部下の甲賀が<弓島珈琲>に現れるところから。同時に、前作の行方不明女子中学生で今は<弓島珈琲>お手伝いの女子大生・あゆみから、学友・梨香と連絡が取れないと相談が・・・。
暴力団の組長・松木や、ダイの恋人が亡くなった原因となった麻薬売人・橋爪など、ブラックな面々も登場するが、やはりそこは小路作品、ブラックなり、いやむしろ一般人以上の矜持を持っていたりする。
本作では、喫茶店の常連の顔とは違った三栖警部の一面が描かれ、登場人物同士のカップルが成立し、それに続きそうな微妙なカップルがちらほら。シリーズはさらに続きそうだ。