空棺の烏(阿部智里)満足度:☆☆☆★

空棺の烏 八咫烏シリーズ 4
本性は鳥だが普段は人間の姿で絢爛豪華な宮廷生活を送る「八咫烏」と、その中央の国・「山内」の世界を描いたファンタジーシリーズ4作目。
1作目で世継である若宮の后選びを巡る東西南北4つの宮家の姫君の暗闘を、2作目で北家の妾腹の次男坊・雪哉を主人公に若宮側の出来事を描いた後、3作目からは村人(八咫烏)を喰う大猿が登場した。また、優秀で人望もある兄が若宮に世継ぎを譲る理由が、若宮が八咫烏全体にとって必要な時期のみ生まれる“金烏”だからだった。つまり、大猿登場と若宮誕生は関係あるのだろうか?
本4作目では、雪哉があらためて「勁草院」(全寮制の山内衆養成機関)に送り込まれる。
同室になったのは、田舎育ちの偉丈夫・茂丸、武術の天才・千早、西家の御曹司で優等生の明留。そこに、若宮の兄・長束の即位に固執する南家出身の上級生達が絡む・・・。
シリーズ全体のディテールを固める巻だと思うが、きっと今後の大猿との対戦で、本作の勁草院の同期達が活躍するんだろう。楽しみだ。