閉鎖病棟(帚木蓬生)満足度:☆☆☆☆

閉鎖病棟 (新潮文庫)
この本は素晴らしい!絶対に読むべきだ!
タイトルで随分損している気がするけど、賞も獲っているらしいし、既に映画化済みらしいし、素人が心配することじゃないか。
でもこのタイトルから受ける負のイメージは、読んでいる最中にはほとんど浮かんでこなかった。読後感は最高だった。
精神科がある病院に入院しているチュウさん・秀丸さん達と、不登校が原因でそこに通院してくる女子高生・島崎さん、担当医や看護師や病院で陶芸教室を開いている講師、入院患者それぞれの家族達・・・。
前半部は主だった入院/通院患者達がそうなるまでの経緯を短編形式で。中盤は病院内の出来事メインで。後半は患者仲間達の別れ(退院等)を描いた作品。
患者達の心の動きがとても素直で好ましい。個々のエピソードはそれなりに悲惨だが、叙情的要素をあっさり目にしているのか、読者の心を重くすることはあまりなさそうだ。
それなりに暴行シーンもあるが、中学生以上ならば読んでもいいのではないか。
良質の道徳教材にも成り得ると思うのだ。