ひかりの魔女(山本甲士)満足度:☆☆☆★

ひかりの魔女
 主人公の真崎光一は大した目標も無いので自宅でだらだらと過ごす、所謂「宅浪」の浪人生。父親はリストラ要員、母親はパート先の惣菜屋が閉店間近、中3の妹は夜遊びを覚えて不良少女への道を歩み始めたところ。そんな真崎家に、祖母(父方の母)の真崎ひかりが同居することになった。
 ばあちゃんが一人で出歩いて怪我したり道に迷ったりしないよう、外出時は必ず光一が同行するようになるのだが、昔書道教室を開いていたせいでとにかく顔が広い。それにばあちゃんは、あることの達人だった・・・。 窯で炊くご飯や、地物で作る惣菜がめちゃくちゃ美味かったり、気功法の様な怪しげな体操を身につけていたり、社会的に偉くなっている人達の先生(書道)だったり、とにかくばあちゃんが当たり前にこなす日常が周囲の状況を好転させていくサマが、読んでいて心地良い。エログロ要素も無いので、夏休みの課題図書にも最適かと。